一滴のしずくも集まれば海になります。
私たちの心も集めてみませんか?

 

一塵大獄を崇くし、

(いちじんだいがくをたかくし)

一滴広海を深くする所以は、

(いってきこうかいをふかくするゆえは)

心を同じくし

(こころをおなじくし)

力を勠するがいたすところなり。

(ちからをあわするがいたすところなり)

 

性霊集 第八

 

一塵のチリが積もって大山をより高くし、

一滴のしずくが溜まって広い海をより深くします。

 

それと同じく、

多くの人びとの心をひとつにまとめて力を合わせれば、

大きな事業を成し遂げることができるのです。

 

 

 

塵も積もれば山となるとは、
よく聞く言葉。

空海はこのあと、
一滴の水が海を深くする。

なぜなら‐‐‐‐‐と続けます。

なぜなら、
塵の一つひとつ、
水滴の一粒一粒が、
心を同じくし、
力を合わすから、
大きなことができるのだというのです。

この言葉は、
空海が高野山上に塔を建立するために釘一本、
材木ひとつでもいいから、
ぜひ喜捨いただきたいという手紙の一節。

空海は京都に教王護国寺(東寺)を朝廷からたまわり、
鎮護国家の道場としました。

ですからこちらは国立のお寺。

一方、
紀州(和歌山県)の高野山は修行の道場として、
朝廷から土地使用の許可をもらっただけの空海の私寺。

国からの助成などは受けられません。

そのためがらんに大勢の人たちの寄進を受けて伽藍を建てていノ、
ことになります。

国の手が回らないことを、
塵ひとつ、
水滴一粒のような小さなことでも、
一人ひとりが心を同じくしていくことで、
大きなことを成し遂げられる‐‐‐。

2014-08-30-13.11.18

 

東日本大震災後の今日を生きる私たちにとって、
いま一度、
胸に刻みたい言葉です。