主役は故人ということを忘れずに

交渉の前に、お葬式の主役は喪主と遺族ではなく、故人ということを肝に銘じておきましょう。
お葬式について故人の遺志があれば、それを最大限実現するのが遺族の務めかもしれません。
主役は故人ということを認識していれば、会葬者への配慮やみえから、葬儀社の営業トークに惑わされることもないでしょう。

遺影写真

不明、不信、不満はその場で解決する

遺族はお葬式に対して3つの不安を感じているといわれています。
不明「どう進めていけばいいのかわからない」

不満「お葬式、お布施の適正な価格がわからない」

不信「祭壇や戒名のランク分けがあいまいでわからない」

あとで、葬儀社任せにして失敗したということにならないように、不明、不満、不信な点は質問して解決し、希望があれば、はっきりと伝えましょう。

葬儀費用

交渉は第三者を交えて

できれば数社の葬儀社に連絡をとって見積もりを出してもらい、比較検討するといいでしょう。
料金だけでなく葬儀社の対応の違いもわかります。
精神的に余裕がない喪主が一人で葬儀社と交渉すると、正常な判断ができないことがあります。
冷静に対処できる第三者に同席してもらうのがいいでしょう。
その際、「何についても判断するのは私たちです」「頼める葬儀社はほかにもあります」という態度で臨みます。
なかには、火葬場や式場の予約、暦などを理由に契約を急ぎたがる葬儀社もあるからです。

 

葬儀社の仕事の確認

お葬式で葬儀社が行うのは左の表のようなことです。
このうち、葬儀一式の基本セットに組み込まれるもの、別に料金がかかるもの、会葬者の人数によって料金が変わるものはどれか確認しましょう。
また、予算を伝えるときは、あいまいな態度をとらずにはっきりと伝えます。
不必要なものまで見積もられて、予想外の金額になることがあるからです。

お葬式にはいくらかかる?

平成15年に行われた財団法人日本消費者協会の調査によると、お葬式の費用総額の全国平均は236万6000円でした。
その内訳は下記のとおりです。

総額 236万6000円
150万4000円
48万6000円
葬儀社への支払い
寺院の費用
(お経、戒名、お布施)
38万6000円

しかし、実際には、地域や葬儀の方法、会葬者数によって大きな差があります。
お葬式の目的を考えると、費用をかければよいというものではありません。
料金の内容や見積もりの仕方を知って、分相応のお葬式をするようにしましょう。

お葬式の費用の内訳を知る

お葬式の費用は、葬儀社への支払いに、お経料や戒名料などの僧侶に差し出すお布施、通夜から精進落しまでの飲食・接待費、関係者への心づけなど、さまざまなものが組み合わさっています。
その中でもっとも高額なのが葬儀社に支払う葬儀費用です。

お葬式費用の内訳
これは、表2のように支払先が葬儀社になる葬祭料と、葬儀社が各社に注文して必要なものをそろえる立て替え金、外注品に分けられます。

お葬式の費用の考え方

仏式で故人を送るために最低限必要なものは、祭壇、棺、火葬料、・収骨容器、霊枢車にお布施です。
これとは別にお葬式をするには、生花や遺影、遺体を病院から自宅に運んだりする寝台車、式場の費用、会葬礼状、通夜ぶるまいや葬儀後の会食の費用などが必要になります。

しかし、無宗教で行うなら祭壇やお布施は必要ないし、家族だけで見送って告別式を行わないなら、.通夜ぶるまいや返礼品、会葬礼状は必要ありません。
お葬式の費用は、このようにどんな葬儀にするかということから、最低限必要なものに、オプションとして付け足していく考え方だと無駄がありません。
もちろん、費用をケチればいいというわけではありません。
大切なのは、みえを張ったり、世間体にこだわったりせずに、何に費用をかけ、何を省くのかをはっきりさせることです。

予算を割り出す

お葬式の予算は、総額でいくらまで出せるかを心づもりして見当をつけていきます。
費用は前述したように、大きく葬儀社への支払い、寺院へのお布施、飲食・接待費に分けられます。
これらに総額予算の3分の1ぐらいずつをそれぞれ割り当てると、費用のバランスがとれて、納得のいくお葬式が出せるといわれています。
その際、表2のその他の出費も考慮しておかなければなりません。
ただし、故人の遺志で、祭壇を設けなかったり、告別式を行わない場合は、この3分の1の法則はあてはまりません。

予算の割り出し方の例
総額予算 150万
葬儀社への支払い 50万
寺院へのお布施 50万
飲食・接待費 30万
その他 20万

葬儀の考え方

見積書を依頼する

葬儀社に見積書の提出を依頼したり、それを検討するときには、必ず親戚や友人などの第三者を交えて打ち合わせをします。

依頼するときのポイント

●具体的にどんなお葬式にしたいのか、式場、祭壇などについて要望を伝える。
●予想される会葬者の人数を伝える。
● 予算を伝える。3分のlの法則で割り出していれば、それを伝える。
セットやコースで依頼する場合は、その内容を確認。

●明細を出してもらう。

見積書を積討し交渉する

葬儀社は一刻も早くという態度をとるかもしれませんが、あわてずに検討して、納得のいく選択をしましょう。
検討にあたり、葬儀社への支払いだけでなく、お布施なども含めて全体の費用がいくらになるかを把握します。
葬儀社と口頭で約束するとトラブルになりがちなので、最初の見積書で変更が出た場合は、第二次、第三次の見積書を提出してもらい、文面で合意することが大切です。

見積書のチェックポイント

●わからない項目や金額があれば、必ず質問する。
●表示金額は下限で見積もっていないか。その場合、予想される追加費用はどのぐらいになるか。
●セットの内容に不要なものはないか。その場合、祭壇や棺など、ほかのセットのものと差し替えられるか確認する。