ローソクの火はなぜつける?
お荘厳の基本となるのが三具足であることは前項で述べましたが、
それでは、これらのてんしょく仏具を用いてローソクに火をつけ(点燭)、
お花を立て、お香をくべるのはいったいどんな意味があるのでしょうか。
まずは、ローソクの火について味わってみましょう。
ローソクに火をつけるのはなぜか?。
ある人は「単にお仏壇の中を明るくするため」と思っているかもしれません。
また、もっと現実的に「お経を読む時のあかり」と考えているかもしれません。
しかし、それでは肝心なことが抜けてしまっています。
というのも、お荘厳とはご本尊の如来さまを美しくお飾りすることでした。
しかも、単なる飾りつけではありません。
如来さまが私に向けて下さっているお心を深く味わう上でのお飾りなのです。
ですから、ローソクの火も、
確かに私がつついた火は如来さまのお徳とけるのですが、
して味わうことが大切になってきます。
ローソクの火には二つの面があります。
一つは”光” です。
周囲を明るく照らすその光は、如来さまの智慧を象徴すると言われています。
心の奥底までも知り尽くし、
どろどろとした迷いの閣を隈なく照らして真実に向かわしめる智慧の光明です。
もう一面は”熱” で、私はこれを如来さまの慈悲を表わすと味わっています。
熱が氷を解かすように、お慈悲の”温もり” が私の固く閉ざした心を解きほぐして下さいます。
またその炎からも、
休むことなくはたらきかけて下さっている如来さまのお慈悲の心が伝わってくるでしょう。
このように味わってきますと、ローソクの火がこれまで以上に輝いてくるのではありませんか。
一般に平常や悲しみの時は白、慶びの時は赤を用います。
また蛇足ながら、なお、ローソクの色は、
お仏壇のためには洋ローソクよりは和ローソクの方が、煤の性質上、よいとのことです。