地獄はどこにあるのでしょう?
自分の心にはない、と言いきれますか?
地獄は何れの処にか在る。執れか自趣の中に観ん。
『十住心論』
地獄という世界はどこにあるのか。
だれも自分の心の中を観ようとはしないのです。
もし、
人の考えていることが見えるメガネがあったとしたら、
あなたはそれをかけますか。
楽しいことばかり追い求めて繁華街を歩く女の子を見たら、
表面ばかりが虹色にうごめく、
中身のないしゃぼん玉に見えるかもしれません(私の偏見か……)。
イケメンの男の子を見たら、
下半身だけの身体にヨダレを垂らした口と、
ギラギラした目だけの化け物に見えるかもしれません(私の嫉妬か…:.)。
冴えない姿をして歩いているサラリーマンが、
天使に見えるかもしれません。
商店のおばさんが、
弁天さまに見えるかもしれません。
しかし、
そんなメガネがあったら、
絶対に見てはいけないものがあります。
それは鏡。
人の心を盗み見てみたいと思うあなたの姿は、
この世のものとは思えぬ醜い姿に映るでしょう。
今のところ、
私もそのメガネで、
鏡に映る自分の本当の姿を見る覚悟はありません。
空海は、
それと似たメガネを持っていました。
しかし、
それには人の心のより深い真実の姿を映しだす力があります。
すべてが仏に見える、
密教メガネです。